インターン生から見た Customer Service & Support
日本マイクロソフト Azure PaaS サポートチームで一か月インターンをしている稲垣沙耶と申します!
PaaS チームで一か月間インターンをして、約 30 人の方と 1 on 1 をさせていただいたり、業務を行う中で感じたことを書きました。 就活の中では、実際に働く際には何をするのか、具体的にイメージしづらいです。 新卒でマイクロソフトの CSS に入ることに興味のある学生の方の参考になれば幸いです。
目次
CSS って? Azure PaaSって何?
CSS でのお仕事
マイクロソフト内での CSS の役割
CSS の良さ・身につく力
私が中で感じたこと
CSS って? Azure PaaS って何?
Customer Service & Support (CSS) とは?
CSS は世界 191 か国のサポートエンジニアが所属する組織です。 サポートエンジニアとは高い技術力やコミュニケーション能力を持ち合わせて、お客様からの問い合わせに対し技術的な支援を行う仕事のことです。
Azure PaaS チームとは?
Microsoft Azure はマイクロソフト社が提供するクラウドサービスのことです。PaaS チームは、その中でも、開発者の方がクラウド上でアプリケーションを構築・稼働させる際の基盤となるサービスのサポートを担当します。
主に Web アプリを稼働させるための基盤である Azure App Service を担当する App Service POD といくつかの開発者向けのサービス (Web API を管理するための API Management や大規模な並列演算処理を実行する Azure Batch, ストレージ基板である Blob Storage 等…)を担当する Developer POD という二つのサブチームに分かれています。
私は Developer POD に所属してインターンシップを行っていました。
チームの方々は、開発・運用保守などのエンジニアをされていた方が多いです。そのほかに、情報系の学部を卒業した新卒の方もいます。
CSS でのお仕事
マイクロソフト製品を利用するお客様に対して、トラブル対応やシステム構築の支援を行っています。高度な技術力や知識を必要とする仕事で、チームの先輩方はすごい知識量の方ばかりでした。また、担当するサービスの幅が広く、アップデートが頻繁に行われるため、チームで相談しながら対応を行っている場面が多かったです。
実際のお問い合わせ内容
今までの話では、実際にどのような問い合わせに対応しているのか、よくわからないと思います。そこで、具体的な問い合わせの例を通して業務の内容を紹介します。
- API Management にリクエストを送ることのできるドメインを制限したいので、実現方法を教えていただきたいです。
→ ドキュメント等で仕様を確認した上で、実際にリクエストを送って検証しながら動作を確認して、回答を行う。 - HTTPリクエストを行った際にエラーが出てしまいました。解決方法を教えていただきたいです。
→ プラットフォーム側のログを見ながらどこに問題点があるのか調査して、解決方法を提案する。 - ストレージアカウントのコストが急に増加していたのですが、どうしてでしょうか?
→ お客様と同じ構成の再現を行って、動作を報告する。さらに、お客様が真に求めていることを判断して、コスト削減の方法まで提案を行う。
この過程で、チャットや通話などで解決方法を相談しながら対応を行っている方が多いです。
例えば、チーム内のチャットやミーティングで質問をして、解決しないことがあれば、製品ごとに開かれているGrobalのCSSの方が集まる相談会で質問をすることもあります。
また、他のチームの製品が関係していれば、他のチームに調査を分割したり、他のチームの方が適していればそちらに調査をお願いすることもあります。
「知識を持っていることも重要だけど、どこに聞けば教えてもらえるか把握していることも大事」とおっしゃっていた方もいるように、情報交換をしながら対応を行う文化が根付いていました。
こちらは CSS で働いている方々が作成した、部門紹介動画です。 CSS で働いている方々のイメージが湧く素敵な動画なのでぜひご覧ください。
対応を行えるようになるまでの学習
PaaS チームではまず、サービスの基本的な内容について学習するラーニングを受け、それに合格した後に実際のお問い合わせ対応を行っていきます。問い合わせ対応を行っていく中で、知識を身に着けていく部分も大きいと思います。 私はラーニングをパスしてからも、知識のキャッチアップがまだまだで何度も周りの方に助けていただき、いつか質問するだけじゃなくて周りを助けられるエンジニアになりたい…!と強く感じていました。
マイクロソフト内での CSS の役割
CSS は製品/サービスを買っていただいた後に、それを用いた開発・運用をサポートするための役割です。クラウドは使用量や継続期間に応じて料金が支払われるサブスクリプションのビジネスです。そのため、高い技術力を持ったサポートエンジニアがお客様の問題解決をサポートすることで、クラウドの利用を促進することになります。
とあるサポートエンジニアに聞いた他部署との関わり
マイクロソフト内の他部署と関わる機会もあります。CSS は社内でも技術課題の解決等を行うことで貢献しています。
どのように他の部署とかかわっているのか、社員の方に伺ってみました。下の見慣れない単語はマイクロソフトの部署やロールです。
アメリカの本社
製品に関する問い合わせを行ったり、製品の品質改善のため、お客様からの声を開発部門にフィードバックすることがあります。
また、開発部門へ製品の不具合を報告し、修正依頼を行うこともあります。
特に PaaS チームは、製品のアップデートが頻繁にあるため、開発部門との関りが多いチームだと伺いました。
営業系
- CE (Customer Engineer)
マイクロソフトでは、製品を使うお客様に対し、システムの保守や最適化を支援するためのプレミアサポートを提供しています。そういったお客様に対してアドバイスを行うのが CE です。 CE の方々は、製品やシステムの実現方法等についての質問を CSS に問い合わせることがあります。 - CSA (Cloud Solution Architect)
クラウド製品の活用を促進する部署で、本社の開発部門への問い合わせたいことがあった際などに CSS を介しています。 - CSAM (Customer Success Account Manager)
プレミアサポートを契約したお客様に対しては専任のアカウントマネージャー (CSAM) が配属されます。CSAM はお客様の案件や今後のマイクロソフト製品を用いたビジネス展開などをお客様とディスカッションし、効果的なトレーニングの提案などを実施し、マイクロソフト製品を用いたお客様のビジネスを成功に導くことがミッションになります。 また、マイクロソフトの製品を使う過程でお客様に非常にインパクトのあるトラブル等が発生した場合には CSAM とともに、後述している ATU や STU 等の営業チームと CSS が協業することがあります。 - STU (Specialist Team Unit)
担当製品を売る営業の方々のチームです。製品について理解するために製品についての質問を CSS に問い合わせることがあります。 - ATU (Account Team Unit)
お客様担当の営業の方のチームです。 - GPS (Global Partner Solutions)
マイクロソフトの製品はパートナー企業と呼ばれる企業を介して販売されることが多いです。そのようなパートナー企業に対する営業が GPS です。こちらも、製品に関する問い合わせなどで関わりがあります。
マーケティング系
- PMM (Product Marketing Manager)
製品のマーケティングを行う方々で、 CSS に対してイベントへの登壇や本の執筆の依頼をされたことがあったようです。 - CMO (Central Marketing Org.)
CSS に対して、社内イベントへの登壇の依頼を行うことがあるようです。
このように、 CSS は社内外に対して、製品に関する知識や問題の解決方法を提供しています。
CSS の良さ・身につく力
最新の技術に触れられる
クラウドビジネスはお客様のニーズや社会の動向に合わせてどんどん変化していきます。その問い合わせ対応を行う中で最新の技術に触れることができます。特に Azure PaaS チームでは、新しいサービスのサポートなども多く実施しています。
問い合わせ内容によって扱うサービスや機能が変わるため、Azure PaaS サービスに関する広範囲な知識を身に着けることができます。(PaaS といっても本当にすべての PaaS ではありません。SQL Database などは Database を取り扱っているサポートチームで対応が行われています。ただ、Web アプリケーションの開発といった Topic を扱うときにバックエンドに SQL Database がいるなどもあり、他のサービスとの関連はサポートするうえではなかなか切り離せず、結果として広範な知識を身に着けることにつながっています。)
また、サービスや技術のアップデートも逐次行われており、ドキュメントが常に正しいとは限らないため、必ずすべて自分の手で検証してから対応を行っていたという方もいらっしゃいました。そのため、新たな技術について学び習得することが好きな方に最適の仕事であると言えます。 学ぼうとする姿勢があれば技術に詳しくなれること間違いないです。
日々違う課題がある
お客様からの問い合わせ内容が変われば扱うサービスや問題点も変わります。そのため、毎日異なる角度から問題解決に取り組むことで、サービスに対する深い理解をすることができるのではないかと思いました。新卒でサポートエンジニアとして働くことで、多くのサービスの幅広い機能について知見を深められることは魅力的であると感じます。
チームワーク
Azure のサービスは幅が広く、アップデートも多いため、チームで情報をシェアして仕事に取り組む必要があります。一か月間のインターンシップの中でも、お客様の課題を解決するためにチームで取り組むという文化が根付いていることを強く感じました。
また、他のサービスを扱うチームでインターンをしていた方々からも、CSS ではチームで対応に取り組んでいる姿が印象的だったというお話を何度も耳にしました。
コミュニケーション
メールや電話で問い合わせを伺い、お客様の実現したいことを把握して解決策を提示する中でコミュニケーションを行うスキルを身に着けることができます。特にCSSではメールや電話でお客様とやり取りをするため、直接会ってコミュニケーション行う以上に気を付けるポイントが多く、ヒアリング能力や信頼関係を構築する力が求められます。そのため、社会人として必要な力が磨かれると思います。
グローバルな機会
毎日アジア太平洋地域のエンジニアが集まり、質問ができるミーティングがあります。参加は任意ですが、参加すれば困ったときにすぐに参加してサクッと質問できることに加え、技術のキャッチアップの機会も増えます。私もインターンシップ期間内に一度参加してみて、ここでさっと質問できるように頑張りたい!と英語学習のモチベーションが上がりました。
入社してすぐに技術に関する業務に取り組める
入社後、ラーニングをパスしたら問い合わせ対応に取り組むことができるようです。一年目から先輩方と同じように業務に取り組んで、力をつけていけることはすごく魅力的です。
キャリアパス
CSS 入社後にはサポートエンジニアとして、業務を行います。その後、専門的な技術を極める方向かマネジメントを行う方向、どちらかにキャリアを積むことができます。
他社から転職されてきた方からは、前の会社では出世するためには管理職になるしかなかったため、CSS には技術の専門性を極める方向とチームをマネジメントをする方向、二つのキャリアパスがあるのが魅力的だというお話を伺いました。
また、CSS 内部でキャリアを築いていくほかに、CSA などのマイクロソフト内の別のロールに移ったり、開発部門に移った方も過去にいると伺いました。CSSで養われる、技術に関する知識とコミュニケーション力が他の部署でも重宝されると伺いました。
私が CSS の中で感じたこと
インターンシップをする前は、問い合わせ対応という仕事の性質から、自分の担当する問い合わせに対して一人で回答を行う働き方をイメージしていました。しかし、問い合わせ内容に関してチャットやミーティングで頻繁に相談しながら、お客様に回答を行っており、ほとんどの社員の方は一人でお客様に対応していなかった点に大変驚きました。
これによって、幅広い製品に関する数多くの問い合わせを扱うことができており、また、業務を行いながら知識や技術力をつけていくことができるようになっていると感じました。
何か困ったことがあって質問をすると、社員の方々がすぐに教えてくださり、自分も得意分野を作りアドバイスを提供してチームに貢献したいと強く感じました。
また、インターン参加時に実際のお客様に対する対応を行わせてもらえることからもわかる通り、すごくフラットなかつチャレンジを歓迎する文化 (Growth Mindset) があると感じました。
最後に
チームで一か月間インターンを行い、多くの方からお話を伺う過程で、入ってからどんなことをするのか全然知らないまま就活をしていたんだな、ということを感じました。 このブログを通じてサポートエンジニアとして働くことをイメージしてもらえたら幸いです。
2021 年 9 月 22 日時点の内容となります。
本記事の内容は予告なく変更される場合がございますので予めご了承ください。